ATISの設立Establishment of ATIS
ATISは、1981年、化学系企業8社で設立され、活動を開始しました。その後、化学系のみならず、鉄鋼、金属、電機、通信、機械、食品、自動車系企業等幅広い業種からの参加を得て、2021年6月現在の会員は、各業界の大手製造会社を親会社として技術情報サービスを事業とする正会員28、以前は正会員であった子会社を吸収した特別会員3、特許・科学技術・翻訳等の技術情報サービスを提供する賛助会員14の計45会員となっています。
ATISは、1981年(昭和56年)に設立され、今年で40周年を迎えることになりました。先輩方が築かれた業績を引き継ぎ、今後に伝えるために、過去5年間の活動を中心に記念誌に取りまとめましたので、ご活用いただけければと思います。
近年の持続可能な社会実現への世界的な取り組みやAI等の急速な技術革新は、これ迄の事業の在り方の根本的な見直しを迫るものですが、その道筋を探り実現に導くためには技術と知財情報の活用が必要不可欠となります。ATISは技術情報サービスを事業とする会員と技術情報サービスを提供する会員とで構成されており、この様に事業を取り巻く環境が大きく変化する中、果たすべき役割は益々重要になってくるでしょう。今後も、これまで以上の進化と発展に向け、会員に役立つ情報や情報交換の場を提供していきたいと思います。
ATISは、1981年、化学系企業8社で設立され、活動を開始しました。その後、化学系のみならず、鉄鋼、金属、電機、通信、機械、食品、自動車系企業等幅広い業種からの参加を得て、2021年6月現在の会員は、各業界の大手製造会社を親会社として技術情報サービスを事業とする正会員28、以前は正会員であった子会社を吸収した特別会員3、特許・科学技術・翻訳等の技術情報サービスを提供する賛助会員14の計45会員となっています。
ATISは、各会員が行っている技術情報サービスに関する各種活動を通じて会員の関連知識・技術の向上に努め、あわせて我が国産業の発展に寄与することを目的としています。近年ではAI調査ツール、AI翻訳ツール等の最先端の科学技術の進展が目覚ましく、各会員による様々な調査分析、情報交換の場が必要不可欠となっております。
そのため、各会員は、例会(年11回)、各種分科会を通じ、各種業界での取組および最先端技術情報の共有、意見交換を行い、関連知識・技術の向上に取り組んでいます。
2020年に入り、新型コロナ感染症の猛威が世界を震撼させ、ATISの活動にも大きな影響を及ぼしました。例会、分科会等会員が直接会合を開き議論する場を設けることができず、基本リモート会議での開催を余儀なくされました。そのような状況下おいても会員同士が創意工夫し、リモートでの活発な活動を継続することができました。例会に関しては、リモート故の参加人数増加という好影響もありました。但し、会合後の会員同士の有意義なコミュニケーションの場となっていた、懇親会を開催できなくなったことが残念です。Withコロナに対応した早期のリアル会合、懇親会の再開を期待したいと考えています。
会員資格を有する企業の発掘と勧誘、さらに会則改訂にともなう会員要件変更により、新たな入会が11会員ありました。一方、構造改革、子会社統合などによる退会もあり、2016年度初に対し、正会員±0、特別会員-2、賛助会員+3となりました。会員構成として、正会員では自動車系子会社が、賛助会員では翻訳系の会員が増えています。2016年度以降の会員状況は表1の通りです。
例会は、代表幹事による例会報告、講演会、施設見学、会員によるシンポジウムおよび商品・サービス等のプレゼンテーション、パネル討論などで構成され、新型コロナウィルス感染症による2020年と2021年の4回の中止を除き、8月を除く毎月開催しました。例会報告では、ATISの直近の活動や計画を紹介し、会員の理解を深めてきました。
豊富な実務経験を有した知財の有識者による講演の他、会員メンバーの関心が高い最新技術分野の研究者等、知財分野以外の講演者も多く招聘し、会員メンバーにとって有益なものとなりうる講演会を計画してきました。講演会の状況は表2に示すとおりです。
会員の親会社のご協力による工場などの施設見学や、一般公開施設の見学を開催してきました。ただ、新型コロナ感染症の発生後は施設への訪問が困難になったため、代替イベントとしてリモートで参加するバーチャル見学を開催しました。施設見学の状況は表3のとおりです。
シンポジウムは、正会員が1回に1社、持ち回りで各社の企業概要、経営課題などを紹介し、活発な質疑により各会員が相互に有益な情報を得る機会とするもので、5年間で29回実施しました。プレゼンテーションは、賛助会員が各社の新商品・特異商品・会社概要を紹介するもので、5年間で15回(延べ48社分)実施してきました。
毎年1回開催されるパネル討論会はATISの大きなイベントの一つとなります。取り上げられるテーマや外部有識者も含めた多彩な登壇者による白熱した討論会は、会員にとっても毎回大変関心の高いものとなります。 なお、例年5月に開催しておりましたが、2020年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で開催時期が遅れて12月に、また初の試みとなるリモート開催となりました。パネル討論会の状況は表4のとおりです。
分科会は会員の発案テーマに基づき発足するもので、活動を通じて経営や業務遂行上の課題をより専門的、実践的に議論してきました。分科会の状況は表5に示すとおりです。2017年にはIPランドスケープへの注目により特許マップを深堀して研究する場として「特許マップ研究分科会」を、2019年には進化するAIを利活用した特許翻訳の必要性の高まりにより「特許翻訳分科会」を、社会の変化に柔軟に対応して新たに発足しました。また、「新興国の知財調査分科会」の活動として、2018年12月に通訳を含む6名の調査団をインドに派遣し、インド特許庁、JETROニューデリー事務所、特許法律事務所および調査会社の視察を行いました。
幹事会は年5回開催され、例会・分科会活動などのATISの企画・運営について検討しています。2020年度には、賛助会員の参加数増加を受け、会員区分に捕らわれることなくATIS活動の運営を柔軟に行えるよう、全会員に総会議決権を付与するとともに、幹事を選任可能なよう会則変更を提案し、2020年度末の臨時総会で承認されました。今後は、幅広い会員からの要望も反映し、事業を取り巻く環境変化にも柔軟に対応可能なよう運営してまいります。
システムの老朽化に伴い運用・保守コストが増大したことから2018年度にホームページの再構築を行いました。コンテンツ・マネジメント・システムを導入することによりこの問題を解決しました。アクセス権限を設けてユーザーグループ毎の情報共有を可能としました。また、パソコンのみならず、スマホ、タブレットでも見易い表示を可能とし、蓄積できるデータの種類を増やし利便性の向上を図りました。一般向けページでは、例会活動情報、ATISの対外活動の紹介などを公開しています。
一般財団法人工業所有権協力センター (IPCC) 特許検索競技大会の後援、一般財団法人日本特許情報機構 (Japio) 特許情報普及活動功労者表彰選考委員会への委員派遣・表彰者推薦、独立行政法人工業所有権情報・研修センター (INPIT) 主催研修の会員への紹介、特許庁IoTに関するファセット分類へのコメント提出 (2017年1月)、WIPOリージョナルワークショップにて講演 (2018年10月)、国立研究開発法人情報通信研究機構 (NICT) 特許出願の日英対訳データ提供 (2019年~2021年) など、引き続き外部関係機関との連携を深め、ATIS活動への理解と存在感をアピールしてきました。
ATISでは以下を中心に活動しています
「例会」では、講演会、施設見学、シンポジウム・プレゼンテーション、パネル討論を行い、「分科会・研究会」では会員に関心が高いテーマに関する調査・研究を進めています。
また、これらの活動はATIS「会員」が参加し、開催・実践されていますが、企画・運営は会員「総会」で承認された「幹事会」に委ねられています。
ATISの組織構成を以下に示します。
※ 2021年7月時点での会員名
開催日 | テーマ | 講師 | |
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2016/09/23 | AI(人口知能)の最新動向、人とAIとの新しい関係 | 慶應義塾大学理工学部教授 | 山口 高平 氏 |
2016/11/16 | アセアンの最新の知財状況 | JETROバンコク事務所 知的財産部長 知財専門家 | 高田 元樹 氏 澤井 容子 氏 |
2017/2/15 | 巨大地震と火山活動:富士山研究の最前線 | 東京工業大学 附属図書館長 教授 | 高橋 栄一 氏 |
2017/3/15 | 特許行政の最新の動向 ~第四次産業革命への対応~ |
特許庁 審査第四部部長 | 後谷 陽一 氏 |
同上 | アクティブに生きるためのマネープランニング | 野村証券株式会社投資情報部証券学習開発課 シニアファイナンシャルプランナー |
倉橋 良夫 氏 |
2017/5/17 | 製品安全対策優良企業の取り組み ~歯ブラシ、コップ、介護用品など歯ブラシ屋の娘(4代目)としての取り組み~ |
ファイン株式会社 代表取締役社長 ファイン株式会社 デザイナー |
清水 直子 氏 曲尾 健一 氏 |
2017/9/20 | 薬の基礎科学について | けいゆう病院 元薬局長 | 関山 正夫 氏 |
2017/11/15 | 次世代人工知能・ロボット中核技術の開発 ~人を豊かにする社会に向けて~ |
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) プロジェクトマネジャー |
関根 久 氏 |
2018/1/17 | 5G最新動向と展望 ~パートナーの強みを融合させた世界~ |
株式会社NTTドコモ 5G推進室室長 | 中村 武宏 氏 |
2018/2/21 | 知財情報を活用した自社蓄積技術展開型イノベーション | デロイトトーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネージャー | 鈴木 健二郎 氏 |
2018/3/22 | 中国知財状況 | JETRO北京事務所 知財部長 | 本間 友孝 氏 |
同上 | 特許行政の最新の動向 ~IoT、AIへの対応とアジア・情報政策~ |
特許庁 審査第三部部長 | 後谷 陽一 氏 |
2018/5/16 | 読まれる技術記事の作り方 ~私たちは何をどう伝えているのか~ |
日経BP社 xTECH編集 | 小島 郁太郎 氏 |
2018/9/19 | 最新の機械翻訳技術と今後の展望 | 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 先進的音声翻訳研究開発推進センター 副センター長 |
隅田 英一郎 氏 |
同上 | これからの技術調査分析の展望と求められる人材 | 一般財団法人工業所有権協力センター 常務理事 | 保倉 行雄 氏 |
2018/11/2 | 第4次産業革命と知財の果たすべき役割 | 一般社団法人日本知的財産協会 専務理事 | 久慈 直登 氏 |
2019/1/16 | 道路トンネル換気制御システムの知財戦略 -技術と製品の進展経緯- |
創発システム研究所 代表取締役 | 中堀 一郎 氏 |
2019/2/20 | ASEANの知財状況 | JETRO バンコク 知財部長 | 加藤 範久 氏 |
2019/3/20 | 企業の事業転換と知的財産戦略 ~IoT,AI時代の知的財産戦略を考える~ |
富士フイルム株式会社 フェロー | 淺見 正弘 氏 |
同上 | アグリガール Story | 日本電信電話株式会社研究企画部門 食農プロデュース担当課長 | 瀬戸 りか 氏 他 |
2019/5/15 | 競争優位の激変と知財の役割 | 特許庁総務部企画調査課課長 | 今村 亘 氏 |
2019/9/18 | ブロックチェーン技術の展望 ~最新動向から見た期待と課題~ |
株式会社NTTデータ システム技術本部デジタルテクノロジー推進室 プロジェクト推進チーム課長 |
山下 真一 氏 |
2019/10/16 | シスメックスの知財活動 ~当たり前のことを当たり前に~ |
シスメックス株式会社 知的財産本部理事・本部長 |
井上 二三夫 氏 |
2019/11/20 | IoT・AI時代のトヨタの知的財産活動 | トヨタ自動車株式会社知的財産部主査 | 近藤 健治 氏 |
2020/1/15 | 量子コンピュータが変える未来 ~モビリティ社会の変革への挑戦!!~ |
株式会社デンソー エレクトロニクス研究部情報エレクトロニクス研究室 研究1課 |
寺部 雅能 氏 |
2020/2/19 | 外国人の日本特許第一号のナゾ | 一般財団法人工業所有権協力センター 副理事長 | 櫻井 孝 氏 |
2020/9/16 | 特許調査業務のDX:技術で変わるスキルと働き方 | amplified社(Founder/CEO) | Samuel Davis 氏 |
2020/10/21 | 特許行政の動向と特許異議申立制度の運用状況 | 東京理科大学大学院教授 | 淺見 節子 氏 |
2020/11/18 | 環境変化を受けた特許事務所の取り組み | 酒井国際特許事務所会長 | 酒井 宏明 氏 |
2021/1/20 | テクノロジーでスポーツに革命を! ~究極の動き・姿勢のデジタル化への挑戦~ |
富士通株式会社 体操プロジェクトリーダー | 藤原 英則 氏 |
2021/3/17 | 特許行政の最近の動向 | 特許庁審査第2部生活福祉部門上席審査長兼 デザイン経営プロジェクトチームリーダー |
今村 亘 氏 |
2021/5/19 | 特許情報の普及・活用に関する特許庁の取組 | 特許庁 総務課特許情報室長 | 蛭田 敦 氏 |
2021/6/16 | リコーにおけるIPランドスケープ実践事例 | 株式会社リコー プロフェッショナルサービス部 知的財産センター 所長 |
石島 尚 氏 |
開催日 | 見学施設 |
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2016/10/19 | 味の素 (株) 川崎工場 |
2017/1/18 | ENEOS (株) (旧:JXエネルギー (株)) 根岸製油所 |
2017/4/19 | (研) 理化学研究所 神戸地区 |
2017/10/18 | 三菱みなとみらい技術館 |
2018/4/18 | (株) カネカ 高砂工業所 |
2018/10/18 | ソニー (株) 本社ショールーム |
2019/4/17 | JFEスチール (株) 東日本製鉄所京浜地区厚板工場 |
2019/10/16 | (株) 神戸酒心館 |
2021/4/21 | <バーチャル見学> 日本製鉄 (株) 「あなたの知らない鉄の世界(環境編) ~鉄が地球と命を守る~ 」 |
開催日 | テーマ | モデレータ・パネリスト(敬称略) | ||||
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2017/5/17 | 知財業務における機械翻訳利用の現状と課題ならびに将来展望 ~知財文献の機械翻訳はどこまで進歩したのか、どこまで進歩するのか~ |
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2018/5/16 | AIを利活用した特許調査業務の現状と課題ならびに将来展望 |
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2019/5/15 | 戦略的活用のための知財分析 |
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2020/12/16 | AI活用でサーチャーの働き方は変わるか? ~AIツールの活用動向と今後の展望~ |
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分科会名 | 詳細 |
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調査業務運営分科会 | 2020年度13会員13名参加(2016年度以降のべ71会員72名参加) 目的:各社の調査事業概要や課題に関して意見交換・情報交換を行うことにより、自社調査業務における課題の解決策の検討を図る。 主な活動:各社調査事業概要紹介、他社比較による気づきや課題認識と集中討議、討議テーマに関する意見交換、特許庁との意見交換会。 |
調査技術分科会 | 2020年度12会員13名参加(2016年度以降のべ62会員69名参加) 目的:調査スキルアップ方法、調査手法についての事例紹介、集中討議、調査演習等を通じ、各自の知識向上・調査スキル向上を図る。 主な活動:各社の調査スキルアップ方法、勉強会、調査手法(特許調査、非特許調査)について情報交換、集中討議、検索演習。 |
知財分社経営分科会 | 2020年度22会員22名参加(2016年度以降のべ90会員90名参加) 目的:知財分社特有の課題についての意見交換を通じ、その解決策に関する情報を共有し、各社の経営に資する。 主な活動:分社経営課題の共有、将来の分社のあり方、将来を見据えた事業展開、在宅勤務等について討議。 |
コーポレートサポート分科会 | 2020年度9会員12名参加(2016年度以降のべ45会員50名参加) 目的:人事制度・処遇体系・人事育成等のスタッフ業務全般について情報交換および各社共通的課題の解決策の検討を図る。 主な活動:各社概況説明、取り組み課題の紹介、働き方改革に関する講演会、制度比較等、フィールドワーク(工場見学等)。 |
特許情報研究分科会 | 2020年度9会員11名参加(2016年度以降のべ49会員58名参加) 目的:世界各国の知的財産情報の収集と分析、活用の研究をし、分科会参加者の知識向上を図り業務改善等に寄与する。 主な活動:各国特許の最新事情・情報研究、最新の知財動向の共有、各国特許庁データベース研究/各社検索データベースプレゼン。 |
新興国の知財調査分科会 | 2020年度6会員6名参加(2016年度以降のべ29会員29名参加) 目的:新興国の知財制度およびその実態を把握し、特許クリアランス調査における課題と対応について検討を行い、実務に反映させる。 主な活動:新興国の知財情報収集、特許クリアランス調査の課題と対応について討議、現地視察(インド)。 |
若手による意見交換分科会 | 2020年度8会員10名参加(2016年度以降のべ37会員44名参加) 目的:意見交換、課題解決策の検討を通じ、各社若手社員のキャリアパス構築、モチベーションアップを図り、各社の活性化に貢献する。 主な活動:各人の業務内容、業務上の課題、悩みの紹介、課題解決策について議論。 |
特許マップ研究分科会 | 2020年度5会員6名参加 (2017年度以降のべ46会員52名参加) 目的:特許マップを活用する業務の有効性の向上、効率の向上、活用可能性の拡大を図る。 主な活動:マップ分類の議論・検討、調査分析事例の議論・共有、仮想調査テーマによる分析(グループ演習)。 |
特許翻訳分科会 | 2020年度13会員16名参加(2019年度以降のべ26会員33名参加) 目的:特許情報及び特許出願の翻訳に関し、品質の向上または業務の効率化など、各社の取り組みについて紹介・意見交換等を行なう。 主な活動:各社の翻訳業務内容紹介、業務課題の共有、グループ討議、講演会の開催。 |
年度 | 功労者表彰(敬称略) | 感謝表彰(敬称略) |
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2016 | 大友 朗紀、丸山 雅夫、梅原 隆 | 松村 雅彦、森島 秀樹、内川 英興 |
2017 | 清水 靖弘 | 佐近 正、仲田 正利 |
2018 | - | - |
2019 | 倉永 宏 | - |
2020 | - | - |
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