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AIによって雇用が奪われるのか -その前に、第二次産業の現場で起こったこと-

標題に掲げたテーマ、いろんな人によって議論されています。
その中でも、エリック・ブリニョルフソン+アンドリュー・マカフィー『ザ・セカンド・マシン・エイジ』は、その問題に取り組んだ二人で、ふたりの解析は、すばらしいなあ、と思いました。

人類史上、最大の変化はなにか

すばらしいと思ったひとつめが、『第一次マシンエイジ』である『18世紀の産業革命』の解釈です。
リック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーは、とても衝撃的なデータを示して、産業革命がもたらした変化を示しています。
下の図(『ザ・セカンド・マシン・エイジ』日経BP社、pp24)がそのデータで、『爆発的な人口増加』が顕著に示されています。

ホモサペンスが誕生して以来、これほどの人口増加はありませんでした。
この視点に、びっくりしました。人類史上の画期的な変化は、「紀元前8000年ごろに起きた狩猟採取から農耕への移行」でもなく、ブッダ、孔子、ソクラテスが登場した「文明開化の時代」でもなく、「文字の発明」でもないというのです。
リック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーによれば、いま直面している「AI時代」は、『18世紀の産業革命』に匹敵する変化だそうです。

『ザ・セカンド・マシン・エイジ』はもう始まっている

リック・ブリニョルソンとアンドリュウー・マカフィーは、『ザ・セカンド・マシン・エイジ』が1970年代に始まっていると述べています。
そして、ITの効果が現れてきたのが、1990年代だそうです。
思い当たるのが『自分の会社』です。
下のグラフを見てください。NKKの従業員数の推移を示したものです。

1982年からの10年間で65%まで減っていますが、1991年から2002年までにはさらに減少し、この11年間で54%も減っていま
す。

そして、1982年から2002年までに、70%の従業員が消えていきました。
ITを利用した製造機械を導入することで、『機械が鉄鋼製品を製造する』ようになったのです。
工場の見学通路から鉄鋼を製造しているところを見ると、視界から人が消えました。『無人の工場』になったのです。人は「オペレータ室」に居るだけ。
自動車業界でも似たようなことが起こっているのではないかと思います。ホワイトボディを作る溶接などは、ほとんどロボットが無人で作業しています。スポット溶接を人間がやっているのをみかけないようになりました。
第二次産業では、ITによるモノづくりがすでに進んでおり、『ザ・セカンド・マシン・エイジ』における雇用の減少が起きていると思います。
でも、全体としてみれば、雇用は大きく減ってはいません。新しく雇用が生み出されたのです。

(M.S.)