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暗黙知はどこに記憶されるのか – 理化学研究所の研究成果 –

先月号で紹介した、三浦さんの「暗黙知」、佐藤さんの「暗黙知」。
それは、人間の脳のどこに記憶されるのでしょうか。
理化学研究所が行った調査にヒントがあります。
理化学研究所の脳科学総合研究センターは、将棋のプロ棋士の脳の働きを研究しました。長い経験と対戦経験から得た情報をもとに、瞬時の状況を判断した次の一手を直観的に導き出すことができるプロ棋士が、直観を働かせるのは脳のどの部分かという調査です。
直観を働かせるのに、プロ棋士の脳がもっとも働いた部分は、大脳基底核の一部の尾状核(びじょうかく)でした。
大脳基底核は脳の深部、中心付近に位置し、爬虫類など、進化上は古い動物でも持っている「古い脳」であり、本能的な行動を司る部分です。
瞬間的な判断をするときは、前頭葉などの「新しい脳」ではなく、「古い脳」が働くというのが研究成果でした。
「暗黙知」は、古い脳に記憶されるのですね。だから、文章にできないのですね。納得しました。

今井むつみ「学びとは何か」岩波新書 138ページ

(M.S.)