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第472回例会報告

2024年1120日(水)に、日本パテントデータサービス株式会社 東京本社 会議室にて第472ATIS例会を開催しました。リアルとリモートを併用した会議で102 (リアル 38名、リモート 64)が出席しました。

当日行われた議事の中から、賛助会員である株式会社IPエージェント様とパナソニックソリューションテクノロジー株式会社様によるプレゼンテーション、東京大学・理化学研究所 副理事、東京大学エクステンション・理研イノベーション 代表取締役社長 山本 貴史 様のご講演について紹介します。

 

(1)株式会社IPエージェント様

株式会社IPエージェントは、2007年に設立され、特許調査解析サービス、特許翻訳サービス、外国出願サービス、検索分析ツール販売サービス(patsnap)を提供しています。

今回は、AIを用いた特許調査手法のイノベーションをテーマにお話いただきました。IPエージェントではpatsnapを導入したことでサービスの幅が拡大し、またpatsnapAIを活用することで特許調査においても多様な提案が可能となったそうです。

AIを用いた特許調査手法についてご解説いただいた後、クリアランス調査にAI自動分類付与機能を活用した例(ハイブリット調査)を挙げていただきました。IPエージェントの通常の調査に加えて、人手では予算上や納期上読み込みができない範囲の特許調査や分類付与をAIで行うことによりコストを抑えた調査が可能であることを説明いただきました。

現状でも調査フェーズや手法によってはAIを活用でき、AIをあくまでツールとして用いることで十分に活用できると話されていました。

 

 

(2) パナソニックソリューションテクノロジー株式会社様

パナソニックソリューションテクノロジーは1988年にICTインフラ事業からスタートされ、2017年からAIアナリティクス技術をコアにしたソリューションを展開するなど幅広い事業領域を有しています。パナソニックソリューションテクノロジーが提供するPatentSQUARE1992年に登場以来、約30年の歴史を持つサービスであり、2020年からはAI機能も提供されています。

今回は、PatentSQUAREの分析機能である知財BIダッシュボード機能を紹介いただきました。知財BIダッシュボード機能は従来の知財部門の悩みであった調査ツールと分析ツール間のデータ移動や調整の煩雑さを解決し、社内独自の技術分類の付与や、一度に100万件の大量文献の分析を可能とします。その他、グラフの種類や軸に設定できる項目も多様であり、特許情報の分析に有用なテンプレートも搭載されています。現在の分析対象は日本語PCT出願、国内公開を含む国内特許ですが、海外文献の対応も進めているそうです。実際に知財BIダッシュボードを用いてグラフ化及び分析を行う方法をわかりやすくご紹介いただきました。

 

(3) 東京大学・理化学研究所 副理事、東京大学エクステンション・理研イノベーション 代表取締役社長 山本 貴史 様のご講演

「パラダイムシフトの時代におけるこれからのアカデミアと産業界の協創」と題してご講演をいただきました。

まずリクルートから東京大学TLOに所属し、現在のご所属に至るまでのご経歴の紹介の後、日本の大学の技術移転の実態や山本様が考えられるイノベーションを促進するためのアカデミア及び企業の役割をご講演いただきました。企業側は現状維持に危機感を持つ必要があることや自社開発の脱却が必要など、諸外国の現状と比較し、また山本様のこれまでの取り組みに関するエピソードなどと併せて非常に興味深いお話しがありました。他にもイノベーションを促進するための東京大学の事例や先端技術とAIを用いて研究を促進する理化学研究所の構想などもご紹介いただきました。