- 活動紹介
第473回例会報告
2024年12月18日(水)に、ユニオンビルにて第473回ATIS例会を開催しました。リアルとリモートを併用した会議で114名 (リアル 52名、リモート 62名)が出席しました。 当日行われた議事の中から、賛助会員である株式会社サン・フレア様と株式会社翻訳センター様によるプレゼンテーション、一般財団法人工業所有権協力センター 顧問 櫻井 孝 様のご講演について紹介します。
(1)株式会社サン・フレア様
株式会社サン・フレアは、1971年に創業し、翻訳・ドキュメンテーション、コンサルティング、教育・研修サービスに加えて、クリエイティブ提供、ライティングサービスなどを提供しています。 今回は、生成AIをどのように特許翻訳に活用していけるのかをテーマにお話いただきました。生成AIによる翻訳と機械翻訳の違いについてご解説いただいた後、生成AIの外国出願業務での活用方法としてUS出願向けの概要作成と特許明細書の訳文の誤り検出についてプロンプトの使い方を交えてご説明いただきました。 現状では生成AIのアウトプット結果を修正する試みは行っているがまだ実用には耐えない印象とのことで、機械翻訳の結果を良くするツールとしての活用を模索されていると話されていました。
(2)株式会社翻訳センター様
株式会社翻訳センターは、1986年に設立され、特許を含めた産業翻訳をコア事業とし、通訳や外国出願代行なども提供しています。 今回は、翻訳作業効率化の取り組みについて話していただきました。翻訳センターではCATツールと専用MTなどを最大限に使いこなす仕組みとして戦略的に導入し効率向上を実現しているそうです。CATツールでは翻訳メモリと原稿の類似箇所の一致率を数値化し、翻訳開始前に翻訳メモリとMTのどちらを利用すべきか確認できるようにしているとのことでした。 オリジナルのマクロとチェックツールの開発にも力を入れており、ケアレスミスの検出精度の向上と翻訳のブラッシュアップに努めていると話されていました。
(3)一般財団法人工業所有権協力センター 顧問 櫻井 孝 様のご講演
「わが国の秘密特許制度と特許出願非公開制度について」と題してご講演をいただきました。
まず日本の核技術流出が確認された事案に伴い秘密特許制度の必要性について警鐘をならした2015年新聞記事の紹介の後、櫻井氏が調査収集された大正から昭和初期の貴重な資料と共に、かつて存在した秘密特許制度と利用実態について非常に興味深いお話しがありました。 現存する秘密の特許出願といえる、防衛目的で日本政府と米国政府との間で結ばれた協定に基づく協定出願についてもご紹介いただきました。 本年5月に施行された特許出願非公開制度については、条文の構成と手続上の主な流れを、分かり易い独自の解説を交えてご説明いただきました。本年11月15日に閣議決定された来年1月の特定技術分野の改正についても言及がありました。 質疑応答では、この制度について理解が進んだという声や、運用上の疑問点に関して多数の質問があり、ATIS会員各社にとってタイムリーで非常に有意義な講演会になりました。