- 活動紹介
第475回例会報告
2025年2月19日(水)、住友化学株式会社 参宮寮おいて、111名(リアル45名、リモート66名)の出席により第475回 ATIS例会を開催しました。当日行われた議事の中から、調査業務運営分科会、新興国の知財調査分科会、特許翻訳分科会の中間活動報告及び中外製薬株式会社 知的財産部長 奥脇 智紀 様のご講演についてご紹介いたします。
ATISでは様々な分科会があり会員同士が活発な議論を行っています。当日は3分科会からの中間活動報告がありました。
調査業務運営分科会では、各社の調査事業や討議テーマ(課題)に関して、意見交換・情報交換を行うことで各社の課題解決策の模索がなされています。また年2回のイベントを企画しており、まずは特許庁との意見交換会をオンライン&リアルのハイブリッドで開催予定です。集中テーマの討議として、すでに人材戦略・育成・マネジメントを終了し、現在は業務ニーズ・提供サービスが進行中、今後はツール・業務効率化を予定しています。
新興国の知財調査分科会では、新興国での日本企業の知財力強化に向け、新興国各国の知財制度、最新知財事情の把握と、効率的なパテントクリアランス調査方法を探求することを目指しています。今期の活動としては、「ASEAN IP REGISTERでできること/できないことの把握」「アセアン諸国において、商用DBとの庁データとの比較」などを行っています。また昨年度は、分科会メンバーでタイに渡航し現地で情報収集や見学を行っていますが、今年度はベトナムを訪問候補としており、知財関係情報の事前収集を行っています。
特許翻訳分科会では、参加企業の個別課題、機械翻訳に関する期待について率直に情報交換、意見交換を行い、各社の知見を広めることを目指しています。日英翻訳における機械翻訳とポストエディットのみならず、生成AIを業務にどのように組み込むことが可能か等の検討を行ってきました。また各社のヒアリングで生成AIの関心が高いため、外部有識者の先生による講演を調整中です。質疑でも、市販ツールの評価やAI活用の実務紹介などに関して、活発な質疑が交わされました。
講演会では「製薬業界における環境変化と中外製薬の取り組み」という講演タイトルで、中外製薬株式会社 知的財産部長 奥脇 智紀 様にご講演いただきました。
中外製薬は抗体医薬品に特徴を持つ、今年創業100周年となる企業です。Roche社との協働のもと「革新的新薬」を事業のコアに据えながら、製薬企業に限らず多様なプレーヤーがイノベーションに挑戦する世界のヘルスケア領域において、トップクラスのイノベーターを目指す成長戦略「TOP I 2030」を推進しています。
とくにIoTにより取得される連続データやデジタル技術の高度化等を通じ、医療・ヘルスケアのパラダイムシフトが加速しています。中外製薬では、DX推進にあたって“全社ごと”化を推進するとともに、経産省が推奨するデジタルガバナンス・コードへも対応し、社長がデジタルに対する想い・考えを社内外に積極的に発信しています。また中外製薬DXの2030年の絵姿として、「デジタルを活用した革新的な新薬創出への取組み」「全てのバリューチェーン効率化への取組み」「イノベーション創出を支える全社基盤の構築」などを推進中です。さらにダイバーシティとインクルージョンを推進する中で、女性管理職比率の向上、会社主導の異動からジョブポスティングへの全面シフトなども進めています。
また講演の最後には、大手電機メーカーから製薬企業へ転職された経験にもとづき、業界ごとの知財に関する考え方の違い、お互いの業界に参考になる知財の仕事の進め方などを紹介され、出席者からの多くの質問にお答えいただきました。
例会の後、同じ参宮寮2階の会場にて懇親会が行われました。43名の参加者により立食パーティ形式で盛大に行われ、大いに盛りあがった懇親会となりました。創薬業界とはあまり馴染みのないATIS会員との会話も、いつもの業界内の話題に留まらなかったことで皆さんも多くの刺激を受けているように見受けられました。