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2017年11月例会(NEDO・特許庁講演)

第395回ATIS例会報告

2017年11月15日、川崎市産業振興会館にて、第395回ATIS例会が行われました。

まず、代表幹事報告にて、会員の入退会状況が説明され、11月15日現在の会員数は41社であり、前回から変動がなかった旨が報告されました。続いて、例会活動・スケジュール、第2回幹事会議事模様などの説明がありました。

続いて2件の講演がありました。

一件目として、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) 「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」 プロジェクトマネージャー 関根 久 様より、「次世代人工知能・ロボット中核技術開発の取組 ~ 人を豊かにする社会に向けて ~」 と題してご講演をいただきました。
最初に、NEDOの概要と研究開発マネジメントについて紹介がありました。NEDOは、エネルギー・地球環境問題の解決と産業技術力の強化の2つのミッションを持ち、日本最大級の公的研究開発マネジメント機関です。2014年4月に設立された技術戦略研究センター(TSC)は、産業技術やエネルギー・環境技術分野の技術戦略及びこれに基づく重要なプロジェクトを企画・立案し、提示する役割を担っており、検討結果をまとめたTSCレポートで、革新的なロボット要素技術の研究開発、人工知能分野の研究者の英知を結集した「拠点」構築の必要性等が提言されました。

次に、ロボット・人工知能を取り巻く政策について説明されました。ロボットメーカー・ユーザー双方の有識者等からなるロボット革命実現会議が内閣総理大臣の下に設置され、その結果「ロボット新戦略」が策定されました。これによりNEDOでは、「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」が始動し、2019年度までに次世代人工知能を実装した6種類のロボットの研究開発を目指しています。その要素技術の実現に向け、次世代人工知能技術分野では、産業技術総合研究所人工知能研究センター(AIRC)を研究開発拠点として一体的に研究開発を推進し、革新的ロボット要素技術分野においては、2017年11月現在、30件の革新的なロボット要素技術の研究開発を推進しているとの説明がありました。次世代人工知能の技術開発と社会実装に関しては、2016年度に設置された人工知能技術戦略会議での検討を踏まえ、拠点において進めるべき4つの共有タスクを設定して研究開発が進められていることが説明されました。
最後に、「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」の知財戦略に係る取組について紹介されました。実用化に向けた道筋を示すため、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)より常駐派遣いただいている知的財産プロデューサーと共に、個別の研究開発テーマ毎に(1)知財調査を行い、(2)知財戦略を立案した上で、それらの結果を研究開発委託先にフィードバックして、研究開発内容への反映がなされています。
最先端で注目されている分野の研究開発状況について、知財分野も含めてご講演され、活発な質疑が交わされました。

二件目は、特許庁総務部総務課 特許情報室長 山本 英一 様より、「特許情報普及に関するわが国特許庁の取組」と題して特許庁による特許情報の普及活用に向けた取組についてご講演をいただきました。

最初に、知財活動を取り巻く状況に関して、年々増加する世界の特許件数のうち中国語や韓国語の文献が70%を占めていることから、これらの文献を精度良く検索できる環境が不可欠になっていることについて説明されました。国内企業で見ると、国内企業数の99.7%を占める中小企業の特許・意匠・商標出願はPCT国際出願件数も含めて増加傾向にあり、中小企業の制度への関心も高まっているそうです。一方、特許出願件数は大企業を含めた全体に対して中小企業は15%を占めるにとどまり更なる対応策の必要性に言及しました。
次に、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)、中韓文献翻訳・検索システム、外国特許情報サービス、画像意匠公報検索支援ツールのそれぞれについて、その機能や特徴について説明されました。2019年にはJ-PlatPatの刷新が予定されており、機械翻訳(日→英)の精度向上、経過情報タイムラグ短縮(4週間→約1日)、提供分野の拡大(特許情報のみならず、商標・意匠の審査書類情報や審判書類情報も公開)による利便性向上を目指しているとのことです。
最後に、今後の特許情報利用拡大に向けた取り組みについて紹介されました。
ATIS会員企業の多くが実施している知財情報の活用、中国語、韓国語文献に関わる調査業務といった実務と密接にかかわるご講演内容であり、活発な質疑、意見交換が交わされました。

以 上