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「Deep learningのメカニズム」と「幼児が言葉を覚えるプロセス」の類似性 -とても似ていると思います-

自分の子供が生まれ、子供を育てる「親の経験」をすることが出来ました。
その後、孫が生れ、「孫の成長を経験」しています(現在進行中)。
「赤ん坊の成長」を2回経験していますが、最初の「自分の子供」の時と、2回目の「自分の孫」の時の「赤ん坊の成長を見る目」が、大分違います。
最初の「自分の子供」の時代には、すべてが初めてのことであり、「親になるというのは、こういうことなんだ」ということを強く感じながら、「逆に、子供が親を育てるんだ」ということを実感しました。
一方で、この時代、会社勤めは責任が重くなり、会社生活にも重きを置かなければならない時代でした。単身赴任していた期間もあり、子育ての中心は妻に頼らざるを得ない状況でした。子供との接触時間は短くなり、子供の成長をじっくり把握することが出来ませんでした。
「孫の時代」になると、会社も卒業に近づき、マネージャーの勤務を解かれ、専門職として「自由にできる時間」を持つことができるようになりました。また、孫に対しては「教育の責任」がありませんので、とても客観的に孫の成長を観察することが出来るようになりました。
そんなとき、今井むつみさんの本(注)に出会いました。
今井さんの本は、認知科学に関するもので、子どもが言語を学ぶプロセスを科学的に明らかにしていました。「乳児はことばを学習するときに、ことばに対する知識をほとんど持たない。最初のうちは単語も知らないから、単語の意味をことばで説明することもできない。それなのに、子供はあっという間に多くの単語を覚え、文法を覚え、話すことができるようになる」という疑問に取り組んでいます。
キーワードは、「思い込み」と「形ルール」。1歳半を過ぎたころになると、子供は「思い込み」をもって、ことばの指す対象と範囲をすぐに決めてしまう。一方で、形が似ているモノに対して、その言葉を一般化する「形ルール」をもっており、それを使ってはじめて聞く言葉の範囲を決める。
(ここからは、ワタクシの理論です) そのときに子供がよくやるのが、確認作業ではないかと思います。
「この言葉は、それでよいのか」を大人に確認するのです。
うちの孫は、風力発電機を指差して、『クルクル』と言いました。観覧車をみても、同じく『クルクル』と言いました。
「回転するものは『クルクル』である、それいいのか」と大人に確認していたのではないかと思います。
そのとき、脳のニューロンが働いていたのだと思います。ニューロンは、下の図のオレンジと緑の細胞です。

正しければ、信号がオンになり、情報を次のシナプス(神経細胞)に伝えます。間違っていればオフになり、信号が伝わりません。孫は、この判断作業をやっていたのです。
このニューロンの仕事が、Deep learningのメカニズムと同じなのです。
Deep learningでは、人工的に作ったニューロンが「しきい値」で判断します。
ニューロンを多層化したのがDeep learningの特徴で、100を超えるほど多層化したノードを構成します。ニューラルネットワークと呼ばれています。
そして答えの間違いが少ないような分類の仕方をコンピュータが自分で学んでいき、しきい値を修正したりします。
でも、どこが「大人」の役割をするのでしょうか。そこがまだ自分にはわかっていません。また、研究しておきます。
(注)今井むつみ「学びとはなにか」岩波新書

日経BP社「グーグルに学ぶ デイープラーニング」より

(M.S.)