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ムーアの法則 -指数関数の恐ろしさ-

ゴールドン・ムーアは、インテルの共同創業者ですが、1965年にエレクトロニクス雑誌に掲載した余談が有名になりました。ゴールドン・ムーアは、下記のように言ったと、『ザ・セカンド・マシン・エイジ』に書かれています。
最少コストで得られる素子の性能は、おおざっぱに言って一年間に二倍のペースで上昇する・・・短期的には、このペースは加速するとは言えないまでも、維持されるだろう。長期的には、この上昇ペースが続くかどうかは不確実だが、少なくとも10年程度は維持されると考えてよい
このムーアの法則は、従来の科学技術の発展とはまったく異なるペースです。自動車の燃費が一年間に2倍になることなんてありません。材料のハイテンの開発だって、そうです。オリンピックの陸上だって、タイムが半分になるのには何年かかるでしょうか。それが、コンピュータ産業だけが、「ムーアの法則」に従って発展しているのです。驚くことに、ムーアが予想した10年をはるかに超えてしまっているのです。40年を超えても、まだ「ムーアの法則」が当てはまるというのです。
「ムーアの法則」が10年続くと、「集積回路の性能は500倍」になります。
「ムーアの法則」=「倍々ゲーム」をグラフ化すると、図のようになります。

「このグラフは、それ自体は正確であるのだが、ある重要な点で人を欺く。増えるのは最後の数年であって、最初のうちは全然増えていないと錯覚させるのである」と著者は述べています。
この変化を「チェス盤の残り半分」というたとえを使って説明しています。
6世紀ごろ、インドに、ある頭のいい人物がいて、チェスを発明しました。王様はこのゲームがたいそう気にいり、褒美をとらすといいました。男は、王様を喜ばせたチェス盤にちなみ「最初のマス目に1粒、二番目のマス目に2粒、三番目に4粒・・・という具合に、前のマス目の倍の米粒を置いてそれを賜りたい」と述べました。たやすいことだと、王様は承知しました。
チェス盤には、60のマス目があります。32マス目で40億粒になりました。大きな畑一枚分で、まずまず妥当な量です。ところが、チェス盤が進行するにつれ、深刻な事態になりました。王様はそれに気づき、男の首を刎ねてしまいました。60マス目には922京粒になり、積み上げるとエベレストより高くなるそうです。
デジタル技術が急激な進歩を遂げていると人類が気づいたのは、2006年だと言われています。2018年の今は、想像を絶する時代、つまり「チェス盤の残り半分」に入っているわけで
す。これが『第二次産業革命』とされる理由です。
章の始めに、アルバート・A・バートレットの言葉を引用されていました。『人類の最大の欠陥は、指数関数を理解できないことだ』

(M.S.)