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2018年1月例会(JFEテクノリサーチ(株)シンポジウム・分科会中間報告・NTTドコモ 中村武宏様講演 5G最新動向と展望)

第397回ATIS例会報告

1/17(水)、科学技術館にて第397回ATIS例会を開催しました。35社から77名の参加があり、代表幹事の報告に続き、会員企業のJFEテクノリサーチ(株)によるシンポジウム講演、分科会活動の中間報告と(株) NTTドコモ 5G推進室の中村武宏室長による講演が行われました。

シンポジウムでは、JFEテクノリサーチ(株) 鹿内伸夫様より事業紹介がありました。同社は、JFEスチールの子会社として2004年に設立され、「ものづくりのベストパートナー」を標榜して事業を推進しています。事業拠点は本社、千葉地区、京浜地区、倉敷地区、福山地区など多数あり、主要な事業分野は知的財産、材料分析、計測技術、環境技術、ビジネスコンサルティングとなっています。ATISと関連が深いのは知的財産事業であり、特許情報の調査業務、出願権利化支援業務等を行っています。出願権利化支援の業務は親会社であるJFEスチールの知的財産部と役割分担をして、親会社では戦略立案・係争対応を担当し、JFEテクノリサーチ特許出願部では出願・権利化の実務支援を担当していますが、現場では親会社と一体となって議論しながら業務を進めています。JFEテクノリサーチ(株)おける課題は、世代間の技術・知識の伝承や、AIツールや各種検索ツールの活用、海外特許の効率的調査等であるとの説明がありました。発表後の質疑では、会員の興味が高い親会社との役割分担等について活発な議論が交わされました。

続いて、3つの分科会から、本年度のこれまでの活動内容や今後の予定が説明されました。
調査技術分科会からは、これまでの活動内容および今後の活動予定についての報告がありました。これまでの活動として、特許検索競技大会の問題演習を用いた課題抽出に関する報告がありました。今後の活動予定として、CPC関連課題の勉強会、調査プロセスごとの課題に対する集中討議、特許庁との意見交換会、を行うとの紹介がありました。報告後の質疑にて、スキル向上の目標を明確にすること等に関して活発な議論が交わされました。
若手による意見交換分科会からは、今後の知財関連活動を担う若手、中堅社員を中心とした参加メンバーにより、「各自の課題」を「全体で議論」した結果として、「業務効率化と視野の拡大」をテーマとして取り組むこととしたとの報告がありました。視野拡大のための具体策の一つとして、参加メンバー有志による中国の現地事務所と知財管理会社の訪問の企画が進んでいることも報告されました。質疑にて、中国視察の意義等に関して活発な議論が交わされました。
特許マップ研究分科会からは、活動計画検討プロセスおよび設定したターゲットについての報告がありました。ターゲットとして特許マップの有効性の向上、作成効率の向上、活用可能性の拡大の3つを設定し、今後は分析の第一ステップとして、特許マップ作成目的の整理と成功・失敗事例の収集等を進めるとの内容でした。
各分科会とも活発に活動が行われており、最終報告での成果を期待させる発表でした。

続いて、(株) NTTドコモ 5G推進室の中村武宏室長を講師にお迎えして「5G 最新動向と展望 ~パートナーの強みを融合させた世界~」をテーマに講演が行われました。

講演は、移動通信の歴史に始まり、① 各国における5G導入時期、② 5G要求条件、③ 5G実現のための要素技術、④ 実証実験など、5Gの全体像についての詳細にご説明いただきました。
各国の5G導入時期については、韓国が最も積極的であること、今年からトライアル、プレ商用サービスが活発化すること等各国事情の詳細な説明があり、2020年頃に商用導入開始される見込みとのことでした。
5Gで想定されるサービスは、1) 高速大容量(eMBB)、 2) 超高信頼低遅延(URLLC)、3) 超多数端末(mMTC)の大きく3つのユースケースに分類され、各ユースケースでは目標となる技術的性能が異なるとの説明もありました。
5Gの特徴である高速大容量、超高信頼低遅延、超多数端末収容を実現のために採用された無線フレーム構成、Massive MIMOやビームフォーミング等の要素技術の説明もありました。また、利用周波数帯については、各国の複雑な事情により未決定であるものの、3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯が候補であり、2019年には確定する見込みであるとの説明がありました。
実証実験については、NTTドコモが多数のパートナーと実施した具体的な実験内容(富士スピードウエイでの高速移動実験等)と定量的な結果の説明があり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた導入に向けて着実に開発が進んでいることがわかりました。更にパートナーとの協業を加速するため、少ない負担で協力体制を構築可能な「パートナープログラム」がスタートしたことの情報提供もありました。
講演後の質疑も含め、5Gの全体像を詳細な解説でカバーした、大変興味深いご講演でした。

以上