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2019年4月施設見学・例会((株)住化技術情報センターシンポジウム)

第410回 ATIS臨時総会例会・例会報告

2019年4月17日、JFEスチール(株)東日本製鉄所京浜地区にて、施設見学会と第411回ATIS例会が行われ、34社69名の参加がありました。

例会の代表幹事報告等に先立って施設見学会が実施されました。 見学会では、2台のバスに分乗し、海底トンネルを抜けて扇島にあるアメニティホール(見学センター)に到着してから、VTRによる東日本製鉄所京浜地区の説明を受けました。扇島は、東日本製鉄所京浜地区の中心であり、川崎・横浜市にまたがる約550万平方メートル(東京ドーム120個分)の人工島です。 かつて3か所に散在していた日本鋼管京浜製造所の拠点を、生産性の向上や公害対策を図るため、1969年(昭和44年)に扇島計画が発足され、1974年(昭和49年)には埋め立てが完了し、1976年(昭和51年)11月には現在の製鉄所が稼働し始めました。鉄鉱石、コークスといった原料受入れから製品出荷までの工程を有し、各設備が合理的なレイアウトで配備されたエコ製鉄所であるとの説明がありました。
その後再びバスに乗って、厚板工場と転炉を見学しました。厚板工場では、熱された鉄が圧延機を通過するたびに薄く延ばされる様子を見ることができました。板の表面を洗浄・冷却する高圧の水蒸気が大量に放出される様は圧巻でした。また、転炉では、溶銑を蓄えた巨大な釜から真っ赤な滴が飛び出す様子が見られました。その他、バスの移動中に車窓から原料ヤードやコークス炉などを眺めることができました。
見学後、アメニティホールに戻り、質疑応答の機会がありました。人材育成についての質問については、オンザジョブトレーニングを行っているとの回答でした。また、「匠の技」といわれる技術伝承について質問がありましたが、一朝一夕には継承できないので時間をかけなければならないとの答えでした。
普段なかなか見られないダイナミックな製鉄の現場を見せてもらい、大変印象に残る見学会となりました。

次に、第411回例会では、代表幹事報告にて会員の入退会状況、5月例会のシンポジウム内容(パネル討論)・講演の予告について説明されました。また、新日鐵住金(株)から日本製鉄(株)への商号変更に伴い、日鉄住金総研(株)から日鉄総研(株)へ社名変更されたこと、及び、4月の人事異動に伴う正会員(3社)の代表者等交代について説明されました。

シンポジウムでは、(株)住化技術情報センター副社長の関根千津様より、住友化学(株)及び(株)住化技術情報センターの会社概要ならびにセンターの調査を中心とした事業内容の活動紹介がありました。その中で、まず、住友化学(株)の創業の歴史及び事業精神について紹介がありました。1915年の営業開始とともに、殺虫剤開発、エチレン製造、製薬部門の進展等に関する説明がありました。さらに現在の海外展開状況についても紹介されました。売上割合として、年間総売上(約2兆円)のうち石油化学分野及び医薬分野で全体の約5割を占めながらも、営業利益はスペシャリティケミカル領域が大きいことから、新中期計画でもこの領域への注力が加速されることも紹介されました。2019年度からの中期計画の基本方針として、事業環境認識(ボラティリティ・不確実性の増大懸念)、経営目標(次世代事業の創出加速、イノベーションエコシステムの構築)等があることも説明され、デジタル革新による生産性の向上を図るため、データサイエンティストの確保・育成についても紹介がありました。
(株)住化技術情報センターの会社概要として、従業員数(65名)、調査対象分野(ライフサイエンス、高分子先端材料、環境安全等)の説明がありました。また一般的な調査として、技術調査、市場動向調査、化学企業経営動向調査、政府技術戦略・プロジェクト等の情報調査を実施していること、及び、特許調査として、先行調査,クリアランス調査,情報検索サービス,定期情報配信等の業務に従事されていることも紹介がありました。
「データサイエンティストの確保」に関する質問については、「データ解析の専門性を有する人材を採用することで、会社内での育成に繋げることが可能」とのご意見も頂き、講演者のこれまでのご活躍やご経験に基づく貴重なシンポジウム講演をして頂きました。