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第437回 例会報告

9月15日(水)、日鉄総研本社 国際ビルよりリモート会議にて、42社 108名(リアル8名、リモート100名)の出席により第437回 ATIS例会を開催しました。
まずは、田中新代表幹事より、第1回幹事会報告、直近の例会活動、2021年度ATIS活動計画などの報告がありました。

 

次に、賛助会員である株式会社IPエージェント様と株式会社翻訳センター様によるサービス、商品の紹介、さらにはJETRO 北京事務所 知財部長 山本 英一様、JETRO 香港事務所 知財部長 松本  要様よりご講演をいただきましたので、その内容について紹介いたします。

賛助会員による新商品・特異商品・会社紹介として、株式会社IPエージェント様より、事業内容について紹介がありました。特許調査解析、特許翻訳、外国出願権利化が三本柱で、特許調査解析では無効資料調査、侵害予防調査、技術動向調査、出願前調査、意匠調査を中心に年間1200件以上を手掛けておられます。数万件の大規模案件や5大特許庁(日米欧中韓)以外のマイナー国案件、超短納期案件にも対応されるとのことでした。翻訳部門や外国出願部門と連携可能な点も特徴となっています。

 

賛助会委員報告の2社目として、株式会社翻訳センター様より、AI音声認識を活用した日本語議事録作成支援アプリ「AmiVoice ScribeAssist」についての紹介がありました。音声認識市場の売上シェア約50%を持つアドバンスト・メディア社製で、AIにより平均して7~8割と高精度の認識率を誇っています。リアルタイムでの音声認識が可能な点と、ネット接続不要のスタンドアロンタイプのため情報漏洩リスク低いのが特徴で、「あの~」などのフィラー自動カット機能や音声認識部分をクリックするだけの聞き直し機能など、議事録作成を支援する機能も充実しています。

 

ATIS会員が国内外での知財の調査を効率的に行っていく上で、また、お客様との打合せ記録を効率化する上で、両社の発表とも非常に興味深いものでした。

 

講演会は、JETRO 北京事務所 山本様並びに香港事務所 松本様より「中国の知的財産概況」に関する講演をいただきました。
最初に、中国の知財政策全般についてのご説明があり、第13次5ヵ年計画における知財の目標について、出願数は達成したが、質への転換には課題が残っているとのことで、第14次5ヵ年計画では技術開発と高品質特許取得を推進する方針であり、そのための施策として、様々なインセンティブや罰則の設定、法改正、ガイドラインや標準の整備、審査体制の充実化や地方での支援機関の設立など、多方面にわたる中国政府の施策について紹介がありました。また、模倣品対策ではアリババをはじめとする電子商取引プラットフォームの役割が重要視されている点や、JETROでの模倣品対策マニュアルの公表についての紹介もいただきました。
海外との関係で標準必須特許の管轄権を巡る争いに関しては、特に、標準必須特許に関するドイツ地裁判決について、司法主権、安全保障、革新的利益の保護の観点から、その執行申請を禁止する裁定(禁訴令)を最高人民法院が出しており、今後もルールメイキングの主導権争いが続くとのことでした。
また、特許の活用促進への取り組みに関しては、中国で多くの部分を占める大学保有の特許権(国有資産)に対し、研究者への所有権や長期使用権の付与、知財担保融資、知財の証券化などにより知財の活用を図るとともに、知財マネジメント標準やガイドラインの制定により中小企業マネジメント力を強化するとのことでした。
最後に、香港の経済と知財動向に関し、経済面では必ずしもデカップリングは起きておらず、今後も香港は中国とともに発展していくこと、知財面では中国に対する国際紛争解決の場として適していること、第14次5ヵ年計画では知財貿易の中心にするとの方針が示されていることが説明されました。また、香港は中国との協力関係がますます深まっていくであろうとのことでした。
講演の後、会員からも多くの質問があり、中国の知財状況に関する関心の高さが伺われました。