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ATIS 臨時総会・第433回 例会報告

2021年421日、日鉄総研本社にて、ATIS臨時総会と第433ATIS例会が行われ、3780 (リアル 11名、リモート 69) の参加がありました。

まず、臨時総会が実施されました。 臨時総会では、第1号議案の「会則改訂」が全会一致で承認され、会則の第7条、第11条、第13条、第14条および第24条(総会、幹事会メンバー)が改定されました。これにより、20216(開催予定)の臨時総会より、正会員・特別会員・賛助会員による議決がなされることが案内されました。

次に、第433回例会が実施されました。まず、代表幹事報告にて会員の入退会状況報告、3月例会の活動報告、5月例会の賛助会員による新商品・特異商品・会社の紹介および講演の予告がされました。また、賛助会員発表のアンケート調査結果について、80%以上の大多数がプレゼンテーションを行った賛助会員の数および各賛助会員のプレゼンテーション時間をちょうど良いと評価し、約90%が賛助会員による新商品・特異商品・会社の紹介をこれからも続けてほしいと回答したことが報告されました。

シンポジウムでは、富士通テクノリサーチ()代表取締役社長の田中誠様より、親会社である富士通と富士通テクノリサーチの会社概要、富士通の知財活動及び富士通テクノリサーチの事業活動の紹介がありました。富士通の会社概要として、富士通のあゆみ、富士通の目指す姿「IT企業からDX企業へ」が紹介されました。また、富士通は、テクノロジーソリューション(ソリューション・サービス、システムプラットフォーム)、ユビキタスソリューション(パソコン)、プロダクトソリューション(電子部品)の事業セグメントを有し、2019年度のテクノロジーソリューションの売上収益が80.8%となったことが紹介されました。次に、富士通の知財活動の説明がありました。

富士通の知財活動は、創成期、量産期、競争期を経て、現在の共創期に至っており、各期において知財活用のタイプを変遷させて行われてきたことが説明されました。創成期には、1935年に富士電機の電話部所管業務を分離して富士通の母体となる富士通信機製造()が設立される際、技術部に特許係が設置されたことから知財活動が始まったことが紹介されました。量産期には、1990年頃の日本特許出願約13000件のピークに示されるように量産活動によりポートフォリオ形成が行われたことが紹介されました。競争期には、1985年からのIBM社とのソフトウエア著作権の係争、1990年からのキルビー特許訴訟および2004年のサムスンSDI製のプラズマディスプレイ特許訴訟に示されるように権利行使のための知財活用が行われたことが紹介されました。現在の共創期は、お客様との共創(Co-Creation)を促進するためのツールとしての知財の活用が求められていることが紹介されました。富士通の知財部門は、今年度の体制変更を受けて、知財フロントサービス統括部の知財インテリジェンスサービス室(テクノロジフロント知財支援)、知的財産イノベーションセンター(ビジネスフロント知財支援)、知財グローバルヘッドオフィスの知的財産戦略室(戦略企画、グループ・グローバル知財ガバナンス、意匠・商標、知財活用デザイン)、知的財産センター(知財ポートフォリオ構築)の4組織となったこと、別会社として、富士通テクノリサーチ株式会社(TRL)およびFujitsu Patent Center(FPC)を有していることが紹介されました。

富士通テクノリサーチは、創立197841日、社員数48名(正規35名、再雇用5名、派遣8名)、個人事業主数31名であることが紹介されました。現在は、富士通()のコーポレート部門の子会社として、コーポレート部門効率化及びコーポレート費用の削減を実現しつつ、高付加価値の知的財産の構築と知的財産のリスク低減に貢献することをミッションとしていることが説明されました。富士通テクノリサーチは、調査センターとIP開発センターとからなり、調査センターで技術動向調査・先行技術調査・侵害回避調査・無効化調査・有効性調査の業務を行い、IP開発センターで出願書類作成・権利化対応・知財管理の業務を行っていることが紹介されました。最近の取り組みとして、画像意匠の意匠調査体制の構築等の紹介もありました。講演者のこれまでのご活躍やご経験に基づく貴重なシンポジウム講演をして頂きました。

次に、「あなたの知らない鉄の世界(環境編)~鉄が地球と命を守る~」をテーマとした日本製鉄のホームページにある動画鑑賞のバーチャル施設見学がありました。まず、鉄は、ライフサイクル全体で考える環境負荷が軽量他素材よりも低く、環境にやさしい材料であることの説明がありました。次に、陸から供給される鉄分の不足が原因となり、海底から藻場が消失する磯焼けという環境問題を、製鋼スラグを使用した鉄分供給ユニット(ビバリー®ユニット)により解消した事例の紹介がありました。また、次世代の温暖化ガス対策であるブルーカーボンによるカーボンニュートラルのために、このビバリー®ユニットによる藻場造成に加えて浚渫土に鉄鋼スラグを混合し、藻場再生の浅場を造成するカルシア改質技術の開発事例の紹介がありました。バーチャル施設見学の後、日鉄総研調査研究事業部産業技術部研究主幹の堤直人様への質疑応答の機会がありました。ここでは、ビバリー®ユニット技術に関する説明やビバリー®ユニットに関する特許も取得されたとの紹介がありました。あまり知られていない環境問題への鉄の活用を知ることができ、大変印象に残るバーチャル施設見学会となりました。