トピックス

  • 活動紹介

第441回例会報告

第441回例会報告

1月19日(水)、日鉄総研本社 国際ビルよりリモート会議にて、43社・133名(リアル8名、リモート125名)の出席により第441回ATIS例会を開催しました。当日行われた議事の中から、賛助会員である株式会社パソナナレッジパートナー様と中央光学出版株式会社様による新商品・特異商品の紹介、東京大学大学院情報理工学系研究科客員研究員の中澤 敏明様の講演について紹介いたします。

株式会社パソナナレッジパートナー様からは、中国調査サービスの強化として在華調査会社ネットワークを構築中であることと、非特許情報を含めた情報分析・提案を様々な開発ステージでカスタマイズするコンサルティングサービスを提供しており、現場で併走しながらIPランドスケープなど知財戦略策定を遂行しスピーディーな意思決定を支援していることを紹介いただきました。トピックスとして大学への権利活用支援について紹介いただきました。

次に、中央光学出版株式会社様より、2020年に代理店販売を開始したグローバル特許意匠検索分析サービス「PatSnap」標準機能のAnalytics特許・意匠・非特許文献等の検索と、オプション機能のInsightsレポート作成機能を紹介いただきました。Insightsレポート作成機能では様々なグラフやタイムラインで表現した分析評価を盛り込んだ技術レポート、企業レポート、競業レポートなどが作成できることを紹介いただきました。

講演会は「正しく知ろう機械翻訳の使い所」と題して中澤様に講演いただきました。
ニューラル機械翻訳(Neural Machine Translation : NMT)の仕組みについて、精度を高める工夫はどうすればよいか、翻訳者としてどうしたらよいか、機械翻訳の現状と課題と将来についての提言をいただきました。
NMTは教師データ(対訳コーパス)とNMTツールとサブワードへの分割ツールと計算機の4つがあれば誰でも費用をかけることなく作成できることを紹介いただきました。精度を向上させるには上質かつある程度の量以上の教師データを用意することが重要であり、教師データが大量に用意できれば汎用のNMTを使うのではなくNMTを一から作成した方がより精度の高いNMTを作成できるとのことでした。
特許調査のクラスタリングでは、一応の正解が対訳文として与えられる機械翻訳とは問題設定が異なり教師無し機械学習であるため一般的に正解がなく、利用者の意図どおりに動くとは限らないとのことでした。
機械翻訳を使うことによって翻訳者の負担が少なくなるのではなく翻訳者の役割が変わり求められる能力が変わってきていますが、しかしそもそも機械学習は精度100%を達成できるものではなく、将来的に翻訳者による機械翻訳のチェックが必要なくなることはないので、したがって機械翻訳の成長を見守るのでなく今使えるものを使い倒して業務効率化をすることが重要との貴重なアドバイスをいただきました。
ATIS会員各社にとって機械翻訳は非常に重要なツールですので、今回の講演は大変興味深く非常に有意義な話をお聞かせいただけたと思っています。