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第443回例会報告

第443回 ATIS例会報告

3月16()、日鉄総研本社 国際ビルよりリモート会議にて、42会員・131名(リアル13名、リモート118名)の出席により第443 ATIS例会を開催しました.当日行われた議事の中から、 (1) パネル討論 「知財DXを可能とする機械翻訳~開発現場 & 利用現場から~」 と、 (2) 講演会 「特許行政の最近の動向」 とについて、ご紹介いたします。

前半セッションのパネル討論では、モデレータとして、コニカミノルタ株式会社 金子清隆様、またパネリストとして、一般財団法人 日本特許情報機構 長部喜幸様、リコーテクノリサーチ株式会社 東内健一様、東芝デジタルソリューションズ株式会社 西本俊之様 三宅悠紀子様、日鉄総研株式会社 八巻隆博様、にご登壇いただきました。

開発、ユーザ、それぞれの立場から発表いただき、AI翻訳に関する活発な個別討議が発表毎に行われました。AI翻訳には、目的に応じた複数エンジンの組み合わせ(NMT/SMT/RBMT)、対訳コーパスやアダプテーションによる学習、構文分割といった前後処理、等の重要性が議論されました。

こうした個別討議後の全体討議では、整備済みの対訳コーパスを用いたアダプテーションによる個別カスタマイズに価値が認められる一方で、カスタマイズに必要な対訳コーパスを整備する際の負担軽減が共通課題として挙げられました。また、特に日英のAI翻訳には、日本語原文の明晰さが大切であることが、共通認識としてクローズアップされました。

最後にAI高精度化の先の未来予測が語られ、開発側でもユーザ側でも付き合い方によって、AIは業界全体を盛り上げる手段となり得ることが期待されて、前半セッションの終幕となりました。

後半セッションの講演会では、特許庁 上席審査長の今村亘様から、「特許行政の最近の動向」につき、ご講演いただきました。

まず、近年の出願/審査の状況が紹介され、中国の出願が飛び抜けている一方、日本では特許出願が回復したものの、PCT出願が減少し、意匠出願が少ないとの見解をいただきました。また、特許特別会計として料金改定及び予算の経緯が紹介され、予算増の対象となっているDX推進では、業務支援ツールが特許庁のアジャイル開発チームにより内製されていることを、説明いただきました。

次に、DXを支える先端技術特許の最前線として、ITと既存分野とを融合させたfintech, foodtech等のビジネス関連発明と、AI関連発明/AIコア発明とがいずれも増加している状況が紹介され、日本特許庁では審査支援チームのAI担当官と実際の審査官との相談体制が構築されていることを、説明いただきました。また、共創の時代に大切な特許情報を提供するために、API提供が20221月に開始されたことが紹介されました。

さらに、日本全体でのTRの低下要因に関する分析結果を説明いただきました。また、特許庁における環境技術(グリーンインベントリ)の動向分析計画、IPランドスケープ活用施策、スタートアップ支援施策が紹介されました。

最後の質疑応答の中では、特許非公開制度やAI審査基準といった、ホットな話題に関する情報もお話いただき、後半セッションは、ATIS会員各社にとって非常に有意義な講演会になりました。