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第451回例会報告

2022年1221()、ユニオンビス2F セミナールームA(武蔵小杉)よりリモート会議にて、4197(リアル11名、リモート86)の出席により第451 ATIS例会を開催しました。当日行われた議事の中から、 (1) トヨタテクニカルディベロップメント株式会社(TTDC) 石井 英一様によるシンポジウム、(2) 日鉄総研 常務取締役 小野 透様によるご講演「鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取組とエネルギー政策上の課題」について紹介します。

 

シンポジウムでは、トヨタ自動車の知財活動、TTDC会社概要、IP事業本部、課題についてご紹介が有りました。トヨタ自動車においては、SDGs達成に向けたカーボンニュートラルに全力でチャレンジを行っており、経営の意思が反映されたIP戦略を具体化し、「車両電動化技術に関する特許」実施権の無償提供やOpen Invention Networkを通じてオープンソースソフトウェアにクロスライセンスを行っています。また、人材育成として、IPランドスケープの実践に向けた社内公募、ベンチャーや中小企業への短期人材派遣も行っております。

TTDCでは、最先端の情報&技術による統合ソリューションを駆使し商品開発にベストな環境を構築し、IP事業と計測制御事業により開発環境を提供するために経営本部, IP事業本部, 計測制御事業本部の3つの本部体制(約1000名)からなっております。そのうちのIP事業本部は、事業統括部、特許以外の翻訳や通訳も行うグローバル事業部、調査解析やコーポレートガバナンスコードやSDGs支援や知財マネジメントから教育まで行っている知財ソリューション事業部からなります。社員が若く女性比率が高い、業務の効率化と高付加価値化を目指しており、人材育成として検索競技大会への参加、働き方改革(ハイブリッドワーク:出社/在宅の使い分け)などを課題と感じているなどのご発表がありました。また、多言語翻訳のチェックやオリジナルAI調査や知財教育、通訳/翻訳のニーズなどの質問があり、活発な討議となりました。

 

次に、日鉄総研 常務取締役 小野 透 様から「鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取組とエネルギー政策上の課題」についてご講演がありました。

Part.鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取組」では、鉄鋼プロセスでは鉄鉱石の還元工程で大量のCO2が発生するため、鉄鋼業界ではカーボンニュートラル実現に向けて、高炉における水素還元比率の拡大や水素還元製鉄技術、大型電炉による高級鋼製造技術などの革新技術開発に鋭意取り組んでいること、一方、これらの革新技術の実現には、大量の水素/アンモニアの資源開発やサプライチェーンの構築、技術開発や革新プロセス導入のための資金確保、コスト負担ルールの確立に加え、国内生産活動維持のための重要な事業環境として、電力の安価安定供給が必要とのお話がありました。

Part.エネルギー政策上の課題」では、①日本の産業用電気料金は世界で突出して高く、さらに年々上昇するFIT賦課金と燃料費の上昇が追い打ちをかけていること、②原子炉等規制法が定める運転期限によって今後原発容量が減少し、火力も老朽化による設備廃止が新設規模を上回ることから、将来の安定供給力が失われていくこと、③ロシアのウクライナ侵攻に伴うLNG調達問題や脱石炭政策による投資抑制などによるエネルギー安全保障上の課題が顕在化する可能性などがあることなどが示され、それらの課題に対応するには、短期的には原発再稼働の迅速化や利用率向上、中期的には既設原発の法定限界である60年までの延長/建設中原発の運開と火力設備のリプレース、長期的には既設原発の60年を超えた運転期間延長/より安全性の高い次世代原発へのリプレース並びに火力設備の増強が必要であることが示されました。また、原子力や火力にの建設には相当のリードタイムが必要であることから、それらの判断は先延ばしできないことも付言されました。

また、ドイツのような周辺国との連系がない日本において、太陽光や風力などの自然変動再エネで安定供給をになうことは困難であり、火力等の維持が必要とのお話であり、鉄鋼業界の話からエネルギー政策にまでおよぶ内容で、多くの方が興味をもたれるものでした。

以 上