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第453回例会報告

2023年2月15日(水)、TKP新大阪ビジネスセンターにおいて、 44社・132名(リアル 28名、リモート 104名)の出席により第453回 ATIS例会を開催しました。当日行われた議事の中から、IPランドスケープ研究分科会、調査技術分科会、AI調査分科会、知財分社経営分科会の中間活動報告と、パナソニックIPマネジメント株式会社代表取締役社長である足立和泰様の講演についてご紹介いたします。
また、例会の後には約3年ぶりの開催となる懇親会も行われましたのでその様子も合わせてご紹介いたします。

ATISでは様々な分科会があり会員同士が活発な議論を行っています。当日は4テーマの中間活動報告がありました。
IPランドスケープ研究分科会ではINPIT様との意見交換会の紹介がありました。INPIT様はJ-PlatPatをIPランドスケープのツールとしてスタートアップ・中小企業の知財経営サポートに役立てたいと考えており、分科会会員からの意見、要望について大変感謝されていたとのことです。
調査技術分科会では調査実務者による調査手法の具体的な課題について、7名という全員が発言できる人数で活発に議論が行われており、大変有意義な分科会になっているとのことでした。
AI調査分科会では立場の異なる会員間での情報交換を実施し、今後は外部有識者による講演を予定しており、AIツールの知見を深めることができ、最近のAIツールが先行文献調査から自動分類にも適用が広がっているとのお話がありました。
知財分社経営分科会では経営課題、特に人材確保/育成や親会社との役割分担、モチベーションアップについてグループに分かれて討論を行っており、本音で話すことにより課題に対する解決策やヒントを得ているとのことでした。

後半の講演会ではパナソニックIPマネジメント株式会社代表取締役社長である足立和泰様から「事業環境変化に伴う知財部門が果たす役割の変化」のテーマでご講演がありました。
「事業環境変化」については、第4次産業革命の影響で、自動車分野、医療分野、電機分野でIoT化に伴う新しい事業が創出されていることを、パナソニック様の事例とともに紹介されました。
例えば、電機分野の事例は、電子レンジのIoT化です。働く親たちが、「手間なく」「おいしく」「早く」食事を楽しめるよう、IoTを使って電子レンジのレシピ検索・メニュー提案のサービスを提供されています。それだけでなく、パナソニック様が食材宅配サービスの会社と一緒に電子レンジで調理するミールキットを開発し、顧客に対し「献立の悩みを解消し、楽しい食事や家族団らんの時間を創出する」という新しい価値を提供できるようになったとのご説明がありました。異業種との価値の共創の好事例が印象に残りました。
事業環境の変化への対応の難しさも語られました。従来はハード製品の小型化や高機能化が価値であり、その技術開発に力を注いでいればよいという面がありましたが、今はサービスにおける「簡単、便利、楽しい」が重要視される世の中になっています。顧客が何に価値を見出すかの予測が非常に難しいとの点を指摘されていました。
そのような変化に、知財部門としてどのように対応すればよいのか、については、多くの知財関係者が悩むところです。その点について、足立様は、事業環境の変化は逆に知財部門が事業活動へ貢献する場面が拡大している好機であると捉えておられました。経営の事業判断をする立場の人は、常に悩みを抱えており、その悩みに寄り添い「共に悩む」ことがまず重要であろうとのことでした。
キーワードとしては「Support For」つまり事業部門の開発した技術を知財で確保し競争力で許可する活動から、「Propose To」知財情報の分析に基づき事業成長・創出を提案する活動、さらに進めて「Struggle With」事業部門と共に悩み、知財活動の幅を拡大、という風に進んでいきたいとのことです。
ユニークな視点として、知財部門は、社内外のコミュニケーションの勘所であるというご指摘がありました。社内では、知財部門は、技術部門や法務部門と連携しているほかに、経理、調達、人事などの部門と連携する場面もあります。これは知財部門が、社内のイノベーションの橋渡し役になれる可能性があるということであると語られました。社外との橋渡しになることができるのも知財部門ならでは、であるとも話されました。知財業界という同一職種の中に、異業種の企業や機関と意見交換や情報交換ができるスキル研修の場、フォーラム・シンポジウムの場が多々あります。まさに異業種間共創の橋渡し役、インテグレータとして、知財担当者が活躍できる可能性がある、と熱く語られました。
具体的な、パナソニックIPマネジメント㈱の知的財産活動について、特に以下の事項を中心にご紹介いただきました。
・各事業部門との知財部門の対話の場としての「整合会」の開催。
・知財部門から全社向けの情報発信「アフターコロナかわら版」。
他にも多くの事例を交えながら講演いただき、ATIS会員にとって貴重な情報となりました。

例会の後、上階のホールで約3年ぶりとなる懇親会が行われました。約30名の参加者により立食パーティ形式で盛大に行われ、大変盛りあがった懇親会となりました。
初参加の方々のスピーチやATIS活動の長い会員の方々のお話、講演いただいた足立様のATISメンバーとのかかわりのお話等がお伺いでき、会員同士久しぶりの対面での打ち解けた歓談により楽しいひと時となりました。

以 上