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第461回例会報告

2023年1115日(水)に、第461ATIS例会をアーバネックス御池ビル東館(京都)にて開催しました。リアル・リモートを併用した会議で、41社126名(リアル36名、リモート90)が出席しました。当日行われた議事の中から、(1) 正会員によるシンポジウム講演、(2) 株式会社村田製作所 谷野 能孝様によるご講演「村田製作所の事業およびそれを支える知的財産活動のご紹介」について紹介します。

(1)株式会社カネカテクノリサーチ 杉原 了一様によるシンポジウム講演

カネカの事業・知財活動の紹介、カネカテクノリサーチ概要、調査へのAI活用などについてご講演いただきました。事業紹介では、海洋でも分解可能な「カネカ生分解性バイオポリマー“Green Planet®”」や、難燃性でウィッグ素材として用いられている「カネカロン®」などについてご紹介が有りました。また、杉原様は、欧州に滞在したご経験があり、海外企業買収後における、子会社・本社間の一体感醸成の難しさなどについてのお話がありました。出席者一同、大変興味を持ちながら拝聴していました。

カネカテクノリサーチでは、特許調査についてAIを活用し、生産性の向上に向けた活動に積極的に取り組まれています。例えば、AIツールを用いてSDI調査でノイズカットを行うことにより、研究者による査読時間を削減する等、業務の効率化を図っています。質疑の時間には、特にAIツールの使い分けや活用方法について、多くの質問があり活発な議論が行われました。

(2)株式会社村田製作所 谷野 能孝様によるご講演「村田製作所の事業およびそれを支える知的財産活動のご紹介」

株式会社村田製作所の知財活動の事例として、事業に貢献している特許を評価する仕組みを導入したことについてご紹介がありました。その仕組みとは、自社のみで活用する特許ではなく、他社への牽制力を持つような特許を貢献特許(※)として評価するものです。(※貢献特許とは、差し止めによる独占状態確保、クロスライセンスによる事業環境の安定化、ライセンスアウトによる収益確保を行うことができる特許のこと)。このような新しい取組を進めながら、受身になりがちな知財活動から、攻守のバランス良い知財活動を目指しているとのことでした。次に、知財グループにおけるMAについて、知財デューデリジェンス、IPランドスケープの活用・アライアンスの選定などのご紹介がありました。特に、主な出資対象であるスタートアップの事例を用いて、特許ポートフォリオ全体の評価、個別特許の計算の手法についてご説明頂きました。

質疑応答では、マネージャー層や各事業部のパテントリーダーの人材育成についての質問があり、特にマネージャー層については、知財だけでなく、技術やビジネスを知ることで価値のある人材になるとの考えで、事業部や経営企画部門を経験させ、経営陣と話ができる人材を育成しているとのことでした。

谷野様のご経験ならではのご講演で、多くの出席者が大変興味を持たれておりました。