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第462回例会報告

2023年12月20日(水)、ユニオンビルおよびリモート会議にて、38社・106名(リアル54名、リモート52名)の出席により第462回 ATIS例会を開催しました。当日行われた議事の中から、賛助会員である株式会社パソナナレッジパートナー様と一般社団法人化学情報協会様によるサービスの紹介、TMI総合法律事務所 日本・米国カリフォルニア州弁護士 友村 明弘様の講演について紹介いたします。

株式会社パソナナレッジパートナー様からは、知財管理システム導入運用支援、BPO(アウトソーシング)事業について紹介いただきました。同社は米国Anaqua社の日本オフィシャルパートナーであり、ANAQUA®の導入運用支援をされております。また、ANAQUA®以外の知財管理システムの導入運用支援も行なっており,システム導入の支援だけでなく導入後の運用支援、さらに実務のBPOまで、幅広い範囲での支援が可能とのことです。BPO事業については、企業知財部が業務の一部を同社にアウトソーシングすることで、企業知財部は高付加価値の業務に集中できるようになるという効果を、事例を交えて紹介いただきました。

次に、一般社団法人化学情報協会様より、CAS SciFindern(化学技術分野の文献・反応・化学物質検索サービス)、 CAS STNext(科学技術分野の総合検索サービス)、JAICI AutoTrans(機械翻訳サービス)について紹介いただきました。CAS SciFindernは、化学分野の研究開発には必須ともいえるツールであり、CASレジストリーナンバーが付与されたすべての化学物質を調査することができ、さらに、逆合成解析という機能も備えています。CAS STNextは、情報検索専門家向けのツール百近いデータベースの情報を検索できます。JAICI AutoTransは、特に化学物質表記の翻訳に強みがあり、独自の化合物表記翻訳を用いており、英日よりも誤訳が多いとされる中日翻訳でも正訳率が高いとのことです。さらに、翻訳の前処理や後処理を行なうことで読みやすい翻訳を提供できます。

友村様からは「知的財産デューデリジェンスの実務」についてご講演いただきました。
知的財産デューデリジェンス(知財DD)は、M&Aにおいて行われるもので、主に買主側が買収に関する最終判断を行うために、売主側の協力を得つつ、対象会社や対象事業に関する情報収集や問題点を確認するために行なう調査です。M&Aにおいて、知的財産に関するリスクは無数無限にありますが、知財DDのためのリソース(時間、費用)は有限です。すべての調査項目を確認することは現実的ではないので、優先順位が高い項目を適切なスコープ・方法で調査することが求められます。そのため知財DDにおいては、プランニングが重要になります。
知財DDにおいて確認する主な事項は、例えば対象会社保有知財/承継対象知財、承継対象外の知財、他社保有知財(ライセンス等)、他社保有知財(競合等)です。対象会社保有知財/承継対象知財の確認においては、特に権利の取得承継過程を慎重に確認すべき場合があるとのことで、その内容を具体的に詳しく解説していただきました。
また、特許調査・分析と知財DDの共通点や相違点についても解説いただきました。両者は共通する要素も多く、知財DDの実務においては、対象会社が既に行なった各種特許調査の結果を再評価する形で実施される場合も多いそうです。また、リソース(時間、費用)の制約から、 FTO(Freedom to Operate)/侵害予防調査、無効資料調査等のごく一部のみを実施する場合も多いとのことです。
知財DDで実施したほうが望ましい調査は多岐にわたるため、今後は、知財DDの依頼者(知財部等)やその子会社(技術情報サービス)との協働が益々重要になるとのことで,ATIS会員にとって大変貴重なご講演でした。

例会終了後は、忘年会を兼ねた懇親会が開催しました。会員同士の活発な情報交換・懇親が図られ、盛会のうち閉会となりました。