- 活動紹介
第487回例会報告
2026年3月18日(水)、ユニオンビル2FのセミナールームAにてリアル48名、リモート109名の出席により第487回 ATIS例会を開催しました。当日行われた議事の中から、賛助会員である (1) アズテック株式会社様と (2) 株式会社IPエージェント様によるプレゼンテーションと (3) 特許庁 企画調査課長 柳澤 智也様による講演「知財を活用した稼ぐ力の強化」について紹介いたします。
(1) アズテック株式会社様
アズテック株式会社様より、特許検索競技大会への取り組みおよび生成AIの活用について紹介がありました。
同社は特許調査・技術分析を専門とする企業であり、特許検索競技大会において継続的に高い成果を上げており、直近では団体部門1位を獲得するなど、実務能力の高さを示しています。大会への参加は自主性を重視しつつも、日常業務の中で培った調査能力の延長として成果につながっている点が特徴とされていました。
また、生成AIについては、調査業務を完全に代替するものではなく、思考支援ツールとして活用しているとの説明がありました。特に、検索範囲の拡大やキーワード抽出、非特許文献の調査などにおいて有効であり、人とAIの併用により調査の網羅性や品質向上が期待できるとされています。一方で、正確性の担保や判断責任は人間が担う必要があることも強調されました。
さらに、生成AI時代に対応した新サービスとして、出願戦略支援や特許活用支援、意匠調査、研修サービスなどの提供を開始し、知財活動を包括的に支援していく方針が示されました。

(2) 株式会社IPエージェント様
株式会社IPエージェント様より、同社のサービス概要と生成AI・DXの取り組みについて紹介がありました。
同社は特許調査、翻訳、外国出願支援に加え、Patsnapの販売・活用支援などを展開しており、近年はAI・DX推進チームを設置して業務高度化に取り組んでいます。生成AIと検索ツール、専門人材を組み合わせることで、知財業務の品質向上と効率化を図る方針が示されました。
具体的には、FTO調査や技術動向調査において、生成AIを用いたスクリーニングや要約、評価を行い、人による確認と組み合わせることで、精度とスピードの両立を目指しているとの説明がありました。また、翻訳や中間処理などの業務においてもAI活用が進んでおり、今後はルーチン業務の自動化が進展する可能性が示されました。
一方で、生成AI単独では精度に課題があり、人によるレビューやプロンプト設計が重要であること、またAI活用の浸透には組織内の意識改革が不可欠である点が指摘されました。
質疑では、AI調査の限界や調査員に求められるスキル、企業内実施と外部委託の役割分担などについて活発な議論が行われました。

(3) 特許庁 企画調査課長 柳澤 智也 様のご講演
特許庁 企画調査課長 柳澤 智也様より「知財を活用した稼ぐ力の強化」と題して講演が行われました。
講演では、日本企業の賃金停滞やイノベーション力の低下といった課題を背景に、無形資産投資の重要性が示されました。特に、知的財産は企業の付加価値創出や収益力向上に寄与する重要な要素であり、知財活用が企業の「稼ぐ力」に直結することが説明されました。
また、特許や知財を活用した経営の重要性について、各国のデータや事例をもとに紹介され、知財を積極的に活用する企業ほど高い付加価値や賃金水準を実現している傾向が示されました。
さらに、知財を経営戦略に組み込み、経営層主導で活用していくことの必要性が強調されるとともに、特許庁としても企業の知財活用を促進するための施策を推進していることが説明されました。

以上