- 活動紹介
第492回例会報告(2026年9月2日開催)
第492回例会報告
2026年9月2日(水)、太田区民ホール・アプリコ小ホールにてリアル50名、リモート61名の出席により第492回 ATIS例会を開催しました。
例会では、代表幹事からの会員入退会状況、幹事会、直近の例会活動等の報告と、担当幹事より分科会の活動報告が行われました。
また、当日行われた議事の中から、株式会社アイ・ピー・イー様によるシンポジウム講演と、富士フイルムホールディングス株式会社様による講演「富士フイルムグループの知的財産戦略」についてご紹介いたします。
(1)シンポジウム講演
講演者:株式会社アイ・ピー・イー 代表取締役社長
味の素株式会社 知的財産部 企画戦略グループ シニアマネージャー
横山 敬一 様
シンポジウム講演では、株式会社アイ・ピー・イー 代表取締役社長の横山様より、味の素グループの事業と知的財産活動についてご紹介いただきました。味の素グループでは、長年培ってきたアミノ酸に関する知見や技術を「アミノサイエンス®」として、食品からヘルスケア、電子材料など幅広い事業へ展開しています。こうした多様な事業を支える知的財産について、創業以来重視してきた経緯とともに、その戦略が紹介されました。
特に印象的だったのは、知的財産を事業を「守る」手段にとどめず、新たな価値を生み出すために積極的に活用している点です。特許、ノウハウ、商標を組み合わせた事業保護に加え、「攻め」の知財戦略では、事業・研究開発(R&D)・知財が一体となり、事業創出や拡大につなげる取り組みが紹介されました。
その中核となる「IPランドスケープ」は、特許などの情報を分析し、事業や研究開発の戦略立案に活用する取り組みです。単に情報を可視化するだけではなく、将来を見据えた仮説を立て、小さなことでも具体的な示唆や提案につなげることを重視しているとの説明がありました。 また、電子材料や医薬分野などの事例を通じ、事業の特性や成長段階に応じて知財の持ち方や活用方法を変えていく考え方も示されました。
質疑応答では、IPランドスケープを担う組織体制やノウハウの管理、知財部門の役割などについて質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。知財を事業戦略と結び付け、価値創造につなげていく実践的な取り組みを知る貴重な機会となりました。

(2)講 演 「富士フイルムグループの知的財産戦略」
講演者:富士フイルムホールディングス株式会社
執行役員 知的財産部長
佐久間 直子 様
講演では、富士フイルムホールディングス株式会社 執行役員 知的財産部長の佐久間直子様より、「富士フイルムグループの知的財産戦略」をテーマにご講演いただきました。写真フィルム市場の急激な縮小を経験する中で、ヘルスケアやエレクトロニクスなどへ事業領域を広げてきた同グループでは、事業ポートフォリオの変革に合わせて知財活動も進化させてきたとの説明がありました。
知財を単に技術を守るための手段としてではなく、事業成長や新たな機会の探索に活用する考え方が紹介されました。事業の成長段階や顧客にとっての価値に応じて、特許、ノウハウ、意匠、商標などを組み合わせるほか、知財情報・非知財情報を分析して開発の方向性や協業候補、顧客を探る「知財インテリジェンス」も活用しているとのことです。
さらに、今後の知財活動を大きく変えるテーマとして、生成AIやDXの活用についても取り上げられました。業務の効率化だけを目的とせず、AIと人それぞれの強みを掛け合わせながら、知財情報と財務情報を結び付け、知財活動そのものを可視化して経営や事業の意思決定につなげていく考え方が示されました。
質疑応答では、AI時代に求められる知財人材のスキルやDXを組織に浸透させる方法、標準化、デザイン部門との連携など幅広いテーマについて意見交換が行われました。知財を軸に事業変革を支え、さらにAIによってその役割を進化させようとする実践を学ぶ機会となりました。
